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佐渡裕・指揮クリニック〜足利公演(1)

8/22(金)は、佐渡さんのアテンドで栃木県足利市へ行った。佐渡シエナのツアーで足利を訪れるのは今年で3回目。公演は翌日8/23(土)だが、前の日に佐渡さんによる指揮クリニックが足利市民会館で行なわれた。

仙台から東北新幹線で大宮へ、大宮から上越新幹線に乗り換え高崎へ、高崎からタクシーで50分程で足利へ入るという行程。東京から車だと1時間程で着くらしいから、仙台−足利間というのは結構不便な移動である
足利は日本で一番古い学校(寺子屋)がある風情のある町で、ホテルの前には渡良瀬川がどっしりと、存在感を放って流れている。川のあるところに文明あり、ということだろうか。

クリニックの受講者は地元の中学校の吹奏楽部を指導する先生3名。演奏するのは、地元の中学生。課題曲はJ.オリヴァードーティの序曲「バラの謝肉祭」。貴重な機会とあって、地元の指導者や吹奏楽部の学生が聴講しに来ている。

1時間40分程のクリニックだったが、非常に的確なアドヴァイスと濃い内容に満ちたクリニックだった。指揮をしている人にはとても良い内容のクリニックだったと思う。佐渡さんも言っていたが、聴講者の多くが熱心にメモをとっていたのは、勉強文化が脈々と今も続いているということだろうか。
以下クリニック中で印象に残ったことのメモ。

1)
一人目の受講者。曲の出だしは、分かりやすさを重視すべし。例えばじゃんけんの時はゆっくり言っても早口で言っても、みんなタイミングが合う。あの感じで。具体的には「じゃん」「けん」と2拍振ると、演奏する方は一番分かりやすい。
すべての曲がそうではないが、課題曲は出だしがコラール風で最初のブレスも揃えたいので、2拍振る。例えばベートーヴェンの運命は、2拍振ると出だしの驚きが薄まってしまう。テンポ感だけでなく、曲の持つメッセージにも左右される。
ひざでテンポをとるのは、いつもそうなってしまうと、音楽が単調に見えてしまう。テンポが速いところでは構わないが、例えば課題曲の前半部分など静かな箇所では、ひざでテンポをとらない方が良い。

2)
二人目の受講者は音楽に推進力がない、もっと音楽を思ったように前に進めるにはどうしたら良いか、という悩み。
佐渡「どの楽器に注意を払うかだが、そういう時は打楽器と低音部に特に注意を向けるようにすると良い」
言われてみれば至極当然のことにようだが、ああなるほどーと思う。合奏とは集団の力学。指揮者が全員を動かすより、効果的なポイントに働きかけるのが一番効率が良い、というわけだ。その方が音楽も自然に流れていくし。 

3)
三人目の受講者は、メロディ部に指示を出したいが、同時に伴奏部にも目を向けたい、そういう場合はどういう風に対処すれば良いのか、という質問。
佐渡「指揮にはフリを見せることも必要。メロディ楽器に指示を出しながらも、伴奏部を横目で見ている雰囲気を作りだすとか」「胸の使い方はすごく大事。堂々と見せたり、大きく伝えるためには上手に胸を使う必要がある」など。このあたり上手くニュアンスを伝えるのが難しいが、指揮というのは実際の動きの中に、さまざまなニュアンスを同時に盛り込まなくてはいけない。何せ50人以上、多いときは100人以上の演奏者に対し、一人で指示を出しているわけだから当然といえば当然だ。 (つづく)

           

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : 佐渡裕 シエナ・ウインド・オーケストラ 足利市民会館 指揮クリニック 寺子屋

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プロフィール

福岡県八女市出身。音大卒業後、某作曲家の事務所で働き始めた事がきっかけでクラシック業界へ。アーティストマネジメント、コンサートの興行、制作等を行なっています。

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